旦那の精子が足りなかった…。男性不妊による不妊治療について

私が結婚したのは、22歳のときでした。夫は2歳年上です。私はすぐに子供がほしかったのですが、子供ができてからお金に困りたくないとうい夫の意見もあり、夫婦で相談して数年は夫婦の生活を楽しみつつ貯蓄をすることにしました。そして2年が経ち、ある程度の蓄えができたので子供をつくることになりました。

そのころ私の周りでは、妊娠と出産の報告が次から次へとあり、微笑ましくもありうらやましくもあったので、私も「早く子供がほしい」という気持ちでいっぱいでした。実は基礎体温もだいぶ前からつけていて、私のなかでは妊娠する準備万端でした。

しかし半年がたっても妊娠の気配は全くありませんでした。すぐ授かるものではないとおもっていましたが、だんだん不安になってきます。検査をしてみたほうがいいのかな・・・。そんなとき、夫が友人から「男性不妊」の話を聞いて試しに泌尿器科で検査を受けてみると《精子欠乏症》と診断をうけました。まさか夫に不妊の原因があったとは。

原因が分かればそれを治療すればいいと」、私は単純に考えていたのですが、夫はとても深刻そうで大きなショックを受けている様子でした。

男性不妊の原因となる精子欠乏症とは

精子量1mlあたりの精子の数が少ないことです。正常の数値だと1ml中2000万以上ですが、検査の結果、夫は1ml中100万でした。これは重度の数値だそうです。

原因ははっきりは分かっていませんが、日常の中でのストレスだったり、アルコールやタバコの影響などさまざまな要因があるそうです。夫はお酒もタバコも吸っていましたが、お酒は控えて、タバコは禁煙することにしました。

さらに検査をすると、精子をつくる場所の近くに小さな静脈瘤があることがわかりました。男性不妊の方で静脈瘤がみつかるケースは少なくないそうです。この静脈瘤が血流を悪くさせ不妊原因の一つとなっているかもしれないということで、手術をうけることになりました。

【左精策静脈瘤切除術】という手術です。静脈瘤のある左側の足の付け根のあたりからメスを入れて、血管を一部しばることで逆に血流を良くするというものでした。手術は全身麻酔で2時間ほどかかり、3日間の入院が必要でした。夫は手術の痛みよりも尿道カテーテルが辛かったようで、見ていてかわいそうでした。

総合病院だったので他の患者も多く、プライバシーを守るものがカーテン一枚だったのも精神的に苦痛だったようで、本当は4日間入院が必要だったのですが、夫の希望で先生にお願いをして1日早く退院させてもらいました。

費用は保険適応で10万円以下だったと思います。

手術後3ヶ月してから精液検査をしてみると、1ml中600万となり約6倍に増えていました。しかし、まだ自然妊娠できる数値ではないので、不妊治療をすることになりました。

女性の不妊症に関する一般検査について

夫に比べ私の方は何もしていなかったので、まずは一般検査からです。体の周期に合わせてホルモン検査やクラミジア、子宮頸がん検診などをしました。その中でも「子宮卵管造影」という卵管が詰まっていないかみる検査が、数秒間ですが重い生理痛のような強い痛みがあり、個人的には一番つらかったです。看護師さんが肩をさすってくれたり、やさしくしてくださったのを覚えています。

全部で5つの検査をしますが保険適応なので、毎回のお会計は2千円前後で、子宮卵管造影だけは4千円ほどかかりました。検査の合間に病院で開かれる「妊娠準備学級」というものにも受講しました。不妊治療の流れや費用についてお話を聞きました。質問の時間も有り分からないことはここで聞けます。

私は、仕事は歯科衛生士をしていましたが、歯科医院は個人経営をためスタッフが少なく、治療で急に休むと迷惑をかけてしまうので、一般検査が終わるころにやむを得ず退職しました。体への負担も心配だったので、これでよかったと思っています。

一般検査の結果は、特に問題なかったので不妊治療をはじめることになりました。

不妊治療の種類について

不妊治療の種類は大きく2つに分けられます。一般的不妊治療と高度生殖医療です。

一般的不妊治療には、タイミング法人工授精があります。

タイミング法とは

まずは、タイミングの指導を受ける方法を数回してみて成功しなければ人工的に精子を女性の体に入れる人工授精をするのが一般的です。それでも成功しない場合は、高度生殖医療となる体外受精・顕微受精となります。一般不妊治療に比べて高度な技術が必要となるため、高額な費用が掛かってきます。

人工授精とは

体外受精は、女性の体から卵子を採取し、シャーレの中で卵子に精子をふりかけて受精させ、その後受精卵を子宮に戻すのもです。そして顕微受精は、同じく女性の体から採取した卵子と精子一匹を直接受精させるものです。

男性不妊の場合は、顕微受精になることが多いそうです。私たち夫婦は、いちお体外受精の予定で、そのときの精子の状態が悪ければ顕微授精をすることになりました。

体外受精に向けた卵子の採卵

体外受精も顕微授精も最初に卵子を取り出す「採卵」が必要になります。私はまず採卵周期に入る前に、子宮や卵巣を綺麗にするために約1ヶ月間プラノバールというお薬を飲みました。

プラノパールによる副作用?

プラノバールとは、2種類のホルモンが入っていて、月経不順など女性の体を整えてくれるお薬です。しかし、人によっては副作用のでるお薬です。私の場合、服用し始めてから微熱、体のだるさなどの症状がありました。あと、空腹だと胃がキリキリするので常に何か食べてしまい、気づいたら2キロ太っていました(泣)

薬自体には太る副作用はないのですが、「治療がんばっているから」とつい自分を甘やかしてしまい甘いものなどを食べてしまったところもあり反省です。不妊治療をするとよく太ると言われているのは、ホルモンの関係で体がむくみやすくなることが影響するそうですが、私はただの食べすぎでした。

インフルエンザの予防接種の10倍痛いホルモン注射

そして1ヶ月が過ぎ採卵周期に入りました。1回の採卵で複数の卵子を採取するために12日間ほど毎日hmgというホルモン注射を打ちました。これがインフルエンザの予防接種の10倍の痛さといわれていて、本当に痛かったです。そこに3日おきくらいにホルモンの値をみるための採血もあり、注射漬けの毎日でした。

排卵当日。静脈麻酔で手術室へ

採卵当日は、朝から飲食禁止、メイクやネイルもだめでした。夫と一緒に来院して、説明を受けてから手術着に着替えます。病院によって異なるようですが、こちらの病院では静脈麻酔で採卵を行いました。オペ室へ運ばれると点滴から麻酔を入れられ、眠っている間に処置は終わります。40分くらいだったと思います。

その後すぐに夫に採精してもらい、新鮮な状態で受精します。このときは精子の状態があまり良くなかったので、顕微授精になりました。

その日のうちに、4つの受精卵ができたと説明がありました。その後、培養されるなかで成長が止まってしまうものもあり、最終的に1つの受精卵を確保することができました。

受精卵を子宮へ移植

できた受精卵を子宮に戻す方法も2種類あり、受精卵をすぐ子宮に移植する「新鮮胚移植」と、いったん凍結してから移植する「凍結胚移植」です。夫婦で相談をして、子宮が万全の状態で移植できる「凍結胚移植」をすることに決めました。

移植周期に入ると、スプレキュア、エストラーナ、プロゲステロン膣錠という3種類のお薬を使ってホルモン補充などを行い、体の状態が整ったところで解凍した受精卵を子宮に移植します。

この周期では注射はなく、受精卵の移植も強い痛みはなく、体への負担は少なくて安心しました。しかし移植してから受精卵が子宮にとどまってくれるかが問題です。子宮にとどまってくれれば妊娠となり治療は成功です。移植してから12日後の判定日まで、気が気ではありませんでした。

そして、判定日の結果は「陰性」。残念ながら今回の治療では、赤ちゃんを授かることはできませんでした…。

不妊治療を経験してみて

私たち夫婦は、現在2回目の顕微授精に挑戦中です。いま私は26歳ということもあり、まだ何回かはチャレンジしてみたいと思っています。そして1回目の治療が陰性に終わったことで、肩の力が抜けて、今度はリラックスして治療にのぞめそうです。

私の通院している病院では、体外受精の妊娠率は約18%、顕微授精は約23%となっていて、そのうち体外受精の29歳以下の妊娠率は約43%です。この数字は病院によって違いますが、年齢が若いほうが治療成功の確率は高いということです。

不妊治療を経験してみて、一番大切なことは「時間」だと思います。不妊治療をはじめてみると、体の周期に合わせて治療を進めていくので、採卵から移植が終わるまで3~4ヶ月かかります。これを回数行えば数年はあっという間です。

そして、年齢が若い方が成功するともなれば、治療は早く始めるに越したことはありません。なかなか赤ちゃんを授からなくて悩んでいる夫婦は少なくないと思います。

私もその中の一人でした。

しかし、ただ悩んでいるだけでは時間だけが過ぎてしまうにで、とにかく早くまずは検査をしてほしいです。私は不妊治療をしているときよりも、不妊原因発覚前の進む道も分からず、ただ悩んでいたときのほうが何倍も精神的に辛かったです。ストレスは体にも心にも良くないので、夫婦で寄り添いながら、いい道を歩んでほしいです。

不妊治療はお金がかかる。でも助成制度ある!

最後に、費用についてです。不妊治療はお金がかかるといわれていますが、治療の内容によって大きく変わります。まず、タイミング法は保険適応なので1回数千円程度です。

人口受精から保険適応外になり1回2~3万円程度かかります。そして、体外受精から負担する金額は大きくなり、私の通院している病院では1回30万円、顕微授精が32万円でした。総合病院にためか、これでも一般的には安いほうです。

平成28年4月1日以降から不妊治療の助成制度が見直されました。新制度は、助成限度額が1回15万円で、40歳未満だと通算6回、43歳未満だと通算3回受け取れます。いずれも体外受精と顕微授精が適応で、夫婦の所得額が730万円以下の場合ですが、とても大きな助けになります。

自治体によっても助成制度が違うので、ホームページで確認してください。

そして平成28年10月に日本生命から不妊治療保険が販売されました。採卵や体外受精を受けた場合、6回目までは5万円、7~12回目までは10万円受け取れます。16~40歳までの女性が契約できて、子供が生まれたときも10~30万円受け取れるようです。

不妊治療はいつ終わるか分からないものなので、少しでもお金も負担が減ると助かりますね。これからも不妊治療に対して少しずつでも世間の理解が増えていくことを願っています。