結婚5年目。不妊が発覚してから約2年、体外・顕微授精を始めてからは約1年。不妊治療に伴う負担と痛みについて

不妊治療という言葉は、あまり良いイメージはもたれないかと思います。不妊はかわいそう、つらそうなイメージでしょうか。不妊治療をしたことがない方からすると、一体どんなことをしているのか、どれくらいつらいものなのか、わからないことばかりだと思います。私も治療を始める前はそうでした。不妊治療をしている人が周りにいても、

「詳しいことを聞いては失礼かな?」

と思い、あえて治療のことは聞かないようにしていました。そのため、不妊治療については無知なままでした。しかし、実際不妊治療をしている人たちは、つらい経験をしながらも力強く前向きです。

不妊治療をしているからこそ、夫婦仲が良くなったというご夫婦もいるほどです。私も結婚5年目になりますが、倦怠期を迎えることなく、夫と毎日を穏やかに楽しく過ごしています。

今に至るまでに、不妊治療をすることに関してさまざまな不安があり、つらい時期もありましたが、パートナーの大切さを改めて実感できるようになりました。不妊が発覚してから約2年、体外・顕微授精を始めてからは約1年になります。

残念ながらまだ赤ちゃんを授かる事はできていませんが、私もおこなっている体外受精・顕微授精についてお話していきたいと思います。

不妊治療には大きく4つの種類があります

不妊治療の治療方法は、治療する方の状態や不妊原因によって異なってきますが、大きく分けて4種類あります。

  1. タイミング法
  2. 人口受精
  3. 体外受精
  4. 顕微授精

です。多くの方がタイミング法から始まり、徐々に次のステップへ進んでいくといったやり方です。治療の進み方は医師と相談しながら決めていきます。

タイミング法とは

タイミング法と人口受精は「一般不妊治療」と言われていて、この一般不妊治療をしても赤ちゃんを授からないときや一般不妊治療では授かることができない不妊原因がある場合、「高度生殖医療」である体外受精や顕微授精を行います。

体外受精とは

体外受精の治療方法は、卵子と精子を採取して、体外であるシャーレの中で卵子に精子を振り掛けて受精させ、できた受精卵を数日間培養し、その後子宮に戻すといったものです。

治療の過程では、できるだけ多くの卵子を取るために排卵誘発剤を使用したり、ホルモン補充を行ったりします。

顕微授精とは

顕微授精は体外受精と過程はほぼ同じですが、卵子に精子を1匹ずつ受精させる点で異なります。精度の高い治療になりますので、体外受精よりも少し高額な治療になります。

不妊に関する基礎知識

不妊治療を受けている人口について

現在、不妊とみられるカップルは6組に1人と言われています。意外に多いと感じるかもしれません。

身近にはいないという方もいるかもしれませんが、不妊はデリケートな問題なので、ただ公に話していないだけというパターンが考えられます。表には出さないけれど、悩みを抱えているご夫婦はたくさんいらっしゃるのです。

昨年発表された日本産婦人科学会のデータによると、2014年に日本で実施された体外受精は39万3745件で、その結果生まれた赤ちゃんは4万7322人です。

この年に生まれた赤ちゃんは約100万3500人のため、21人に1人の赤ちゃんが体外受精で生まれた割合になります。

日本産科婦人科学会

公益社団法人日本産科婦人科学会(JSOG)のホームページです。

それだけ不妊で悩む方が多いということですが、体外受精という治療法が日本に浸透してきていることが分かります。不妊治療をしている人の中には、体外受精へのステップアップに悩む方もいらっしゃると思います。

私の場合は、不妊原因が夫にあったため、選ぶことなく最初から体外・顕微授精の治療になりましたが、治療費や通院など負担が大きくなるので、難しい決断だと思います。

しかし、不妊治療専門医も増えてきているので、私はチャレンジしてみることをお勧めします。今の時代、体外受精をすることは決して珍しいことではないのです。

女性・男性では不妊治療を受ける病院が違います

先ほどお話したように、一般不妊治療を何度も行っても妊娠にいたらなかった場合や、女性の方に年齢・卵管閉鎖・子宮内膜症・免疫系の問題などがある場合。そして、男性に原因がある、精子欠乏症や精子無力症なです。

また、原因不明などの場合は、体外受精・顕微受精の対象になります。

不妊治療を行う際に、さまざまな不妊検査を行うので、そのときに不妊原因が分かることが多いです。病院によって検査項目は異なるため、不妊原因がはっきりしなく納得のいかない場合は、病院を変えてみることも一つの手です。

今はネットで口コミも見ることができるようになっているので、信頼できる病院へ行くようにしましょう。病院選びはとても重要です。そして不妊原因が不明の方は、体外受精での妊娠率が一番多いと言われています。

体外・顕微授精は、原因が不明でも希望をもてる治療なのです

女性は婦人科で、男性は泌尿器科で検査ができます。

私たち夫婦の不妊原因は夫の精子欠乏症でした。男性不妊の場合、男性が検査をしてくれなくて、不妊原因の発覚が遅くれることが多いようですが、夫は通販で購入できる男性用検査キッドを使用して結果が悪かったため、私よりも早く病院へ検査に行って、早期の発覚となりました。

病院嫌いの男性は多いため、そのような手軽に手に入るキッドを使ってみることも良いと思います。

不妊治療は年齢によって妊娠率が異なってくるので、早期に不妊原因が分かることは、妊娠への近道となるのです。

不妊治療の一般検査について

ステップアップで体外受精に進んでいる方以外は、最初に不妊の原因があるのか調べる為の検査を行います。検査内容は病院によって異なりますが、主に、血液検査による

  • ホルモン測定
  • 抗精子抗体・黄体ホルモン測定
  • 子宮卵管造影
  • 超音波検査
  • クラミジア検査
  • 子宮頸がん検診
  • 精液検査

です。女性のホルモンの周期に合わせて行うものもあるので、一通り検査を終えるのに1ヶ月ほどかかることもあります。

タイミングさえ合えば比較的簡単な検査なのですが、お仕事をされている方は、都合を合わせるのに大変なときもあると思います。

私の職場では急に休むことができず、検査を進めることの出来ない状態が続いたため、治療を始めることもできず時間だけが過ぎてしまい、仕事を辞める決断をしました。

どちらにしても、体外受精をするようなら私の職場では対応できないと感じていたので、遅かれ早かれ退職していたのだと思います。

私は治療に専念する形になりましたが、お仕事と治療を両立している方はたくさんいらっしゃいます。治療の進め方は人それぞれですので、自分たちにあった方法をご夫婦で相談しながら進んで行ってください。

採卵周期

体外・顕微授精の治療を始めるようになると、まず行うことが「採卵」です。採卵は、女性の体から卵子を取り出す処置のことです。

生理が来てから約7日~10日間、排卵誘発剤を投与して、できるだけ多くの数の卵子をつくります。排卵誘発剤は、薬の種類によって違いますが、飲み薬や注射の場合が多いです。

期間中は毎日の服用が必要なので、注射の場合、注射のために毎日通院することができない方は、自己注射をすることもできます。

少しでも痛みの少ない治療の方がいいので、飲み薬での服用が良いと思われるかもしれませんが、よく使われるクロミッドなどの飲み薬よりもhmg注射など注射での摂取の方が排卵誘発の効果は強いようです。

hmg注射は痛い!

ちなみにこのhmg注射はとても痛いです。私は毎回お尻に注射してもらっていましたが、やはり痛かったです。しかし、看護師さんに液をゆっくり入れてもらうと痛みが少ないことが判明し、今では少し気が楽になりました。

卵子が育ったら痛みを伴う採卵作業を行います

卵子が育ったら採卵します。採卵は痛みを伴うため、病院によって静脈麻酔で意識のないうちに処置を行ってくれるところもあり、痛みがなければ処置される女性への負担が大幅に軽減されます。

超音波の機械を使って卵子を採取するようで、半日ほどで終わりますが、まさに手術なので前日夜からの絶食、メイクやネイルの禁止などの注意点があります。

体に負担がかかるので、採卵後は無理をしないことが大切です。

採卵を行う病院の中には、無麻酔で処置を行う病院や、麻酔をしても効きが悪く、辛い採卵を経験された方も多いようです。

私は幸いなことに麻酔がしっかり効いて、全く意識のないうちに処置をしていただけているので、毎回安心して採卵を迎えています。採卵方法をどう行っているかも病院選びの重要な項目の一つです。

採卵された卵子は、培養士さんによって精子と受精させます。このとき、体外受精をする予定でも、精子の状態があまり良くない場合は、顕微授精に切り替えることがあります。

精子の数や運動率が悪いときは、顕微授精の方がより状態の良い受精卵をつくりやすいのです。

もし採卵で10個の卵子が採れたとしても、10個全部が受精卵にできるわけではありません。無事に受精できた卵だけをさらに3~5日間培養していきます。

受精卵の移植方法は2つあります

培養してできた胚(受精卵)を移植するには、2種類の方法があります。

新鮮胚移植

一つ目は、採卵と同じ生理周期で移植する「新鮮胚移植」です。採卵後すぐに胚移植するため、最短の期間で治療を進めることができます。

しかし、排卵誘発剤の影響で子宮に負担がかかっていることや、ホルモンのバランスが崩れてしまっていることがあるため、着床率は約20%と低めです。

凍結胚移植

二つ目の方法は、培養後の胚を凍結してからその後、解凍して移植する「凍結胚移植」があります。凍結するため、子宮の環境が良くなってから移植することができて、着床率は約35%と新鮮胚移植よりも高いです。

デメリットとしては、期間が長くかかってしまうことや凍結費がかかってしまうことです。

あと、胚の培養時の成長状態によって凍結に至らないことがあることや、冷凍した胚の解凍時に状態が悪くなってしまうことがあります。どちらの方法で移植するかは医師や培養士さんと相談して決めていくことができます。

妊娠の判定には約2週間かかります

胚移植してから約2週間後に、妊娠できたかどうかの判定をします。判定方法は病院によってことなりますが、尿検査や血液検査をします。

妊娠していると増えてくるhcg値というものを測り、判定を行います。検査はすぐに終わるものなのですが、治療している人にとってはこれまで頑張った結果がわかる日なので、気が気ではありません。

このとき人によってはすでにつわりが始まっている方もいるようです。

ただ、妊娠の初期症状は個人差が大きいため、何も症状がないからと言って気を落とすことはありません。そして市販の妊娠検査薬よりも病院での検査の方が正確なので、市販のものの結果を鵜呑みにすることもやめましょう。

妊娠に至ったとしても、hcg値によって流産する可能性が高いかどうかもある程度わかるので、病院での検査はとても重要です。

採卵と顕微授精の体験談

実際に不妊治療を開始して通院はどうしているか

私は現在2回の採卵と顕微授精を経験しました。治療をするにあたって、たくさんの情報をネットで集めましたが、やはり百聞は一見にしかず。治療を経験してみたことで、分かった事がいくつもありました。

仕事をしていたころ、一番心配していたことが通院です。体外・顕微授精をする場合は、頻繁に病院へ行く必要があります。

採卵周期には、採卵を含めて半月の間に6回ほど通院が必要です。排卵誘発剤の注射を打つ場合は、ほぼ毎日通院します。注射だけでしたら短時間で終わるので、出勤前などに病院を訪れる事も可能だと思います。

移植周期には、半月に4回ほど通院します。採卵周期も移植周期も半月の間に通院がぎゅっと詰まったような状態です。それ以外のときは、子宮を休めるためや、次の生理が来るのを待つ期間のため、特に通院は必要ありません。

通院の頻度には、かなり波があります。

そして、よく待ち時間が長いと聞きますが、私の通院している婦人科も平均待ち時間は2時間半です。毎回、本や飲み物を持っていくのは必須!

二人目不妊の方は、小さなお子さんと一緒に待っていて、本当に大変なことだと思います。採卵や移植時は時間通りに行ってくれることが多いので、毎回長時間待つわけではないですが、どの病院でも待つ覚悟は必要です。

不妊治療(体外・顕微授精)を行うことによる女性が負う負担について

体外・顕微授精は、女性に4つの負担が伴います。

不妊治療(体外・顕微授精)には通院する時間がとられる

まずは、「通院」です。先ほどお話したように、頻繁に病院へ行くようになります。通院のタイミングも予測できないことが多いため、お仕事をされている方には大きな負担になると思います。

ちなみに夫は採卵時の一日のみ病院に行けば良いです。採精のためですが、持ち込みのOKな病院でしたら夫が来なくても良い場合もあります。

不妊治療(体外・顕微授精)には肉体的な痛みがともなう

次に「痛み」です。私は注射が苦手なので余慶に負担に感じたのかもしれませんが、採血や排卵誘発剤の注射は痛みを伴います。特に排卵誘発剤のhmg注射の痛みはインフルエンザの予防接種の10倍とも言われています。

毎日痛みに耐えて苦しいですが、採卵が無事に終わった後は達成感を感じます。採卵時に痛みを伴う場合は、注射よりも辛いかもしれませんが、こんな痛みに耐えられるのも女性だからだと思います。

出産はさらに大変なことですが、女性は本当に強いと深く感じます。

不妊治療(体外・顕微授精)には薬の副作用がともなう

薬の副作用があります。ホルモン関係の薬が多いため、ホルモンのバランスが不安定になり、だるさ、頭痛、めまい、吐き気など体調に影響を及ぼすことがあります。服用する薬や個人差はあるので、必ずしも副作用があるというわけではありません。

あまり辛い場合は医師に相談すれば違う種類の薬に変えてもらえることもあります。なので、無理しすぎないようにしましょう。

不妊治療(体外・顕微授精)には精神的な負担がともなう

あとは、「メンタル面」です。通院に関しても夫との大きな差があるように、なかなか治療の大変さを夫に解ってもらうことはできません。それと、周囲の人からの「子供はまだ?」攻撃や、友人の妊娠報告は精神的に追い込まれるものがあります。

世間の人たちはまだ不妊について正しい知識はなく、悪気なくそういう発言をしてきます。大きな負担を伴う治療をしているからこそ、さらに辛く感じてしまうかもしれません。

治療の期間中は周囲の人と距離をとることも必要です。

不妊治療にかかる費用(お金)はやはり高額

病院によって治療費は異なりますが、高額と言われているように、1クールの治療に30~100万円費用かかります。保険診療でないので、やはり高額な治療です。しっかりとご夫婦でご相談と準備をするようにしましょう。

そして、国からの助成金制度もあります。初回は30万円、2回目以降は15万円を40歳以下だと6回、40歳以上だと3回受け取れます。医療費控除の対象にもなるので、利用できるものは最大限利用したいものですね。

不妊に悩む夫婦への支援について |厚生労働省

不妊に悩む夫婦への支援についてについて紹介しています。

あと、日本生命から不妊治療保険も出ています。不妊治療はいつ終わるか分からなく、一回だけでも高額な出費を伴うので、治療している人にとってはとてもありがたいことです。

ニッセイ 出産サポート給付金付3大疾病保障保険 ChouChou! | 日本生命保険相互会社

日本生命はフルラインナップの商品でお客様をサポートします。保険に関する基礎知識から商品の情報までわかりやすくご案内します。

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これから不妊治療に臨もうとおもっている方へ

治療をする際にいつも心に置いておいてほしいことがあります。それは、夫を大切にすることです。女性は辛いことに直面したとき、周りにその辛い状況を理解してほしくなります。一番身近にいる存在が夫です。

私ははじめ、どんな治療をしているのか、今自分がどんな健康状態なのか、夫に報告すべきなのだと思い、そして自分のしている事を理解してほしくて、治療の状況を逐一夫に話していました。

赤ちゃんは2人で協力して作るものなのだから、パパになる夫のために話を聞いてもらいたいという気持ちもありました。

しかし、それは間違いでした。

私が治療のことを話すたびに、夫にはどんどんストレスが溜まっていきました。

俺は何もできなくて申し訳ない、今いる俺のことより毎日治療の話ばかり、俺のことは大切ではないのか?

というようにです。

うちは男性不妊が原因だったので、余計に辛い思いをさせてしまったようです。私はただ話を聞いてほしかっただけなのに。

どうしても治療中は通院も多いため、毎日治療のことばかり考えてしまします。痛い注射を打ち、体はだるくなり頭痛もしてきて、体力的にも精神的にも余裕なんてありません。

しかし、そこで夫への接し方をないがしろにしてはいけません。仕事から疲れて帰宅した夫に治療の話をするのではなく、夫の一日の話を聞いてあげる、週末は何をしようか話すといったように、夫と過ごす時間を大切にするよう意識しましょう。

もちろん採卵日など重要なことは話しますが、今は極力治療の話はしないようにしています。どうしても弱音を吐きたくなったときは聞いてもらいますが、本当に時々です。

夫を大切にすることを意識してからは、以前より夫婦仲がとてもよくなりました。自然と気持ちも軽くなり、大切な夫がいるから辛い事もがんばれるという気持ちになりました。

まだ赤ちゃんを授かることはできていませんが、今とても幸せな生活を送っています。

これから体外・顕微授精に挑む方もいるかもしれません。今現在たくさん悩んでいる方もいるかもしれません。

しかし、辛いのはあなただけではありません。

同じ経験をしている仲間がたくさんいます。この記事が少しでも多くの人の助けになり、心を軽くする手助けができたら、とても嬉しいです。世間での不妊治療の理解が深まり、治療をおこなう全ての人がよい方向に行く事を心から祈っています。

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旦那の精子が足りなかった…。男性不妊による不妊治療について | 子宝の神様 木村さん

私が結婚したのは、22歳のときでした。夫は2歳年上です。私はすぐに子供がほしかったのですが、子供ができてからお金に困りたくないとうい夫の意見もあり、夫婦で相談して数年は夫婦の生活を楽しみつつ貯蓄をすることにしました。そして2年が経ち、ある程度の蓄えができたので子供をつくることになりました。 そのころ私の周りでは、