葉酸サプリはいつまで飲めばいい?選び方やポイントも解説【管理栄養士監修】

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妊活中や妊娠中には葉酸のサプリメントが必要といわれますが、いつまで飲めばよいのでしょうか。またたくさんの製品があり、どれを選べばよいか迷っている人もいるかもしれません。この記事では、妊活中や妊娠・授乳中に葉酸が必要な理由と合わせて、サプリメントをいつまで飲めばよいか、葉酸サプリメントをどのように選んだらよいかを解説します。

葉酸は妊娠・授乳中に重要

そもそも葉酸とは?

水溶性のビタミンであるビタミンB群の一種で、体内でDNAやたんぱく質の合成を助けています。また、赤血球を作るのにも欠かせない栄養素です。

葉酸が欠乏すると赤血球が正常に作られなくなり、巨赤芽球性貧血を引き起こします1)

厚生労働省によって定められた「日本人の食事摂取基準(2020年版)」では、1日に必要な「推奨量」が全ての年代に設定されています。12歳以上の推奨量は男女とも1日240μgです。また、妊娠中期~後期の妊婦と授乳婦では、より多くの摂取が必要となります。1日の推奨量は妊娠中期~後期の妊婦で480μg、授乳期では340μgです。

さらに、妊娠を計画している女性、妊娠の可能性がある女性、妊娠初期の妊婦は、サプリメントや栄養補助食品に含まれる葉酸(モノグルタミン酸型)を400μg摂取することが推奨されています1)

妊娠中に葉酸が必要な理由

妊娠初期に葉酸が不足すると、胎児に「神経管閉鎖障害」と呼ばれる先天性異常の発症リスクが高くなります。

神経管閉鎖障害とは、脳や脊髄のもととなる神経管がうまく作られないことで起こる神経障害です。

よく見られるのは「二分脊椎」で、本来は背骨の中にある神経が外に出てしまうことで障害を引き起こします。障害の程度には個人差がありますが、生まれたときに腰の中央に腫瘤ができていることが多く、運動障害や排泄障害がみられます2)

神経管が作られるのは受胎後およそ28日です。この期間は妊娠に気づかずに過ぎることが多いため、厚生労働省は妊娠を計画している段階から葉酸サプリメントの摂取を推奨しています3)

また妊娠中期~後期でも、妊娠初期よりは少ないものの、妊娠前よりは多くの摂取が必要です。

妊娠中は胎児に栄養を届けるため、血液量が妊娠前より増加します。葉酸は赤血球の合成に関わるため、貧血予防にも必要な栄養素です。また妊娠中期~後期では、葉酸の分解や排泄が進みやすくなっています。そのため、妊娠前の2倍量を食事から摂取することが推奨されています1)

葉酸には2種類ある

葉酸には「モノグルタミン酸型」と「ポリグルタミン酸型」の2種類があります。違いはグルタミン酸が結合している数で、モノグルタミン酸型には1つ、ポリグルタミン酸型には複数のグルタミン酸が結合しています4)

食品に含まれる葉酸は、ほぼポリグルタミン酸型です。モノグルタミン酸は合成され、サプリメントや栄養補助食品に含まれている葉酸です1)。そのため、ポリグルタミン酸型を「天然葉酸」モノグルタミン酸型を「合成葉酸」と呼ぶ場合があります。合成だから危険というわけではなく、摂取目安量を守れば安全に使用することができます。

ポリグルタミン酸型の葉酸を摂取すると、腸でモノグルタミン酸型に分解されてから体内に吸収されます。モノグルタミン酸型はこの過程を経る必要がないため、ポリグルタミン酸型より体内へ吸収されやすいといわれています。

そのため、特に葉酸が必要な妊活中~妊娠初期は、効率よく体内で利用されるモノグルタミン酸型での摂取が推奨されています1)

葉酸サプリはいつからいつまで飲めばいい?

葉酸のサプリメントは、妊娠を計画した段階で飲み始め、まずは妊娠初期までは飲み続けましょう。それ以降も食事からの葉酸摂取が不足する場合は、授乳期まで継続して飲むのがおすすめです。

妊娠中の時期によって、必要な葉酸の種類や量は異なります。

厚生労働省では、妊娠を計画してから妊娠初期の間は、食事からの葉酸240μgの摂取に加え、サプリメントなどから葉酸を1日400μgとることを推奨しています。

また食事からの葉酸を、妊娠中期~後期は480μg、授乳中は320μgをとる必要があります1)

女性の葉酸摂取の推奨量1)

 

12歳以上

妊娠計画中

妊娠の可能性あり

妊娠初期

妊娠中期

妊娠後期

授乳期

通常の食品中の葉酸

240μg

240μg

480μg

340μg

サプリメント・栄養補助食品に含まれる葉酸

400μg

特に妊娠初期は、胎児の障害を防ぐために葉酸の摂取が必要です。妊娠初期に葉酸が不足すると、神経管閉鎖障害のリスクが高くなることが知られています。

神経管の上部で閉鎖障害が起こると、胎児の脳が十分に作られず、流産や死産の可能性が高くなります。一方、神経管の下部で起こった場合は「二分脊椎」となります。よくみられる症状は、足の麻痺や運動障害、排泄障害などです2)

神経管閉鎖障害を予防するには、葉酸のサプリメントまたは栄養補助食品を妊娠のおよそ1ヶ月以上前から妊娠3ヶ月まで摂取することが勧められています5)

神経管の閉鎖は受胎後およそ28日で起こるため、妊娠が分かってからでは遅い場合が多いです。妊娠を計画したら早めにサプリメントや栄養補助食品をとるようにしましょう。妊活中~妊娠初期に特化したサプリメントも販売されているので、活用するのもおすすめです。

また、妊娠中期~後期と授乳期では、食事から葉酸を摂取することが推奨されています。ただし、食事から十分な量が摂取できない場合は、サプリメントの活用もおすすめです。

以下の項目では、妊娠の時期別に必要な葉酸の量を解説します。

妊活中~妊娠初期

厚生労働省の「日本人の食事摂取基準(2020年版)」では、妊活中〜妊娠初期(13週まで)は、食事からの葉酸240μgに加え、サプリメントや栄養補助食品からモノグルタミン酸型の葉酸を400μg追加で摂取することが推奨されています1)

妊娠初期は胎児の細胞分裂が盛んな時期で、脳や脊髄のもととなる神経管の形成も行われています。その過程には、DNA合成を助ける葉酸が必要です。

体内での利用率が高いモノグルタミン酸型の葉酸摂取を増やすことで、胎児の神経管閉鎖障害の発症リスクが下がることが、さまざまな研究から明らかになっています。食事からの葉酸摂取も効果はあると考えられていますが、神経管閉鎖障害の予防のために必要な量の根拠が十分ではありません。そのため、妊娠初期はモノグルタミン酸型の葉酸をサプリメントなどから摂取することが推奨されています1)

ただし、葉酸のサプリメントを使用すれば必ず発症が予防できるわけではありません。また、サプリメントをとっているからといって食事からの葉酸摂取を減らしてしまうと、他の栄養素の摂取不足にもつながるため注意が必要です1)

妊娠中期~後期

厚生労働省の「日本人の食事摂取基準(2020年版)」では、妊活中期~後期は、食事からの葉酸(ポリグルタミン酸型)を480μg摂取することが推奨されています。これは、非妊娠時の推奨量240μgに、付加量として240μgが追加された摂取量です1)

妊娠中期以降は、葉酸の排泄や分解が進みやすくなります。また、胎児の成長に伴い、血液量が増加します。妊娠中期以降は、母体の貧血予防のために葉酸の摂取が必要です。葉酸は赤血球の合成に必要な栄養素であり、不足すると巨赤芽球性貧血の原因となります1)

妊娠中期以降は妊娠初期までと異なり、食品から葉酸をとることが想定されています。葉酸は野菜類に多く含まれる栄養素です。例えば、ゆでたアスパラガス100g(1食分)には180μg、ゆでたほうれん草80g(1食分)には88μg含まれます 3,6)

野菜の1日の摂取目標量は1日350g7)で、料理にすると小鉢5~6皿分です。まずは普段より1皿多く野菜を追加してみましょう。

それでも不足する場合は、サプリメントや栄養補助食品を利用して補うこともできます。ライフスタイルに合った方法で十分な摂取を目指しましょう。

授乳期

厚生労働省の「日本人の食事摂取基準(2020年版)」では、授乳期は食事からの葉酸(ポリグルタミン酸)を340μg摂取することが推奨されています。これは、通常時の推奨量240μgに、付加量として100μgが追加された摂取量です1)

母乳にも葉酸が含まれます。授乳によって失われる量を補うため、付加量が設定されています。また、細胞分裂を助ける働きがある1)ため、産後の子宮の回復を早めるのにも役立ちます。

食事摂取基準では、食事から葉酸をとることが想定されています。産後は母体を回復させ、十分に母乳を分泌するために、葉酸だけでなく他の栄養素も含めて食事から摂取するのが望ましいとされています。ただし、産後すぐの慌ただしい時期など、栄養がとりきれない場合はサプリメントから補うのも一手です。

葉酸サプリのQ&A

食事だけではだめなの?

妊活中〜妊娠初期(13週まで)については、食事からの葉酸摂取だけでなく、サプリメントなどから追加で摂取することが厚生労働省によって推奨されています1)

妊娠初期は、胎児の神経管を作るために特に葉酸が多く必要な時期です。葉酸は食品からも摂取できますが、食品に含まれる葉酸(ポリグルタミン酸型)は、サプリメントなどに含まれるモノグルタミン酸型の葉酸に比べて吸収率が低いことが知られています。

ポリグルタミン酸型葉酸の体内での利用効率は、葉酸が含まれる食品や一緒にとる食品によって異なりますが、日本人ではモノグルタミン酸型の50%と考えられています1)。この値から計算すると、モノグルタミン酸型葉酸400μgはポリグルタミン酸型の葉酸では800μgに相当し、ゆでたブロッコリーなら約670g、ゆでたほうれん草では約730gの摂取が必要です6)。そのため、体内で効率よく使用できるモノグルタミン酸型の葉酸を摂取するのがおすすめです。

サプリメントの使用によって神経管閉鎖障害が予防できることは、多くの研究から明らかになっています1)

ただし、葉酸のサプリメントを摂取したからといって、野菜などの葉酸を含む食品を摂取しなくて大丈夫ということではないため注意が必要です。葉酸が多い野菜には、鉄や食物繊維など、他の栄養も豊富に含まれる傾向があります。食事とサプリメント両方から十分に栄養を摂取するよう心がけましょう。

葉酸は緑黄色野菜やレバーに多く含まれます。葉酸が多い野菜は、芽キャベツやブロッコリー、ほうれん草、アスパラガス、枝豆などです。

また、モノグルタミン酸型の葉酸を過剰摂取すると、かえって体に悪影響を及ぼすことがあります。サプリメントや栄養補助食品を使用する際は、1日の目安量を守って使用することが大切です。

飲むタイミングは?

サプリメントは医薬品と異なり、用法・用量は決められておらず、1日の摂取回数や食前・食後といったタイミングに指定はありません。

忘れずに飲み続けられるよう、ライフスタイルに合わせ、飲みやすい時間を決めて摂取しましょう。

できれば、毎食後など1日2~3回に分けて摂取するのがおすすめです。葉酸は一度にとりすぎると、過剰分が尿に排出されてしまうため、分けて摂取したほうが体内で効率よく使用できます。

飲み忘れたらどうする?

飲み忘れた分は飲まずに、翌日からは1日分の目安量を摂取しましょう。

飲み忘れた分を追加で摂取すると、過剰摂取による健康被害を引き起こす可能性があります。目安量を超えて使用するのは控えましょう。

つわりがひどくて飲めないときは?

つわりでにおいや味が気になる、戻してしまうなどのつらい時期は、無理をしないことが一番です。

毎日飲むことが理想ではありますが、体をいたわりながらご自身のペースで続けてみましょう。また、タブレットを砕いて食べ物に混ぜてとる方法もあります。ヨーグルトやゼリー、アイスクリーム、スープなど、食べやすいものを選んで試してみるのもおすすめです。

摂取量に上限はある?

サプリメントに含まれるモノグルタミン酸型の葉酸には、習慣的に摂取しても健康に影響のない「耐容上限量」が設定されています。1日当たりの耐容上限量は、12~29歳と65歳以上では900μg、30~64歳では1000μgです。妊婦や授乳婦でもこの値は同一です1)

サプリメントと使用する際は、製品のパッケージに記載された1日の目安量を守り、耐容上限量を超えないように使用しましょう。

過剰摂取の副作用はある?

食事からの摂取の場合は、葉酸のとり過ぎで健康被害が起こることは考えにくいとされています。しかし、サプリメントや栄養補助食品に含まれるモノグルタミン酸型の葉酸をとり過ぎた場合は、神経症状などの健康障害がみられることが知られています1)

そのため、モノグルタミン酸型の葉酸には、習慣的に摂取しても健康に影響のない「耐容上限量」が設定されています1)。12~29歳と65歳以上では900μg、30~64歳では1000μgを超えないよう、サプリメントや栄養補助食品をとる際はとり過ぎに注意が必要です。

他のサプリメントや医薬品と併用しても大丈夫?

サプリメントを過剰に摂取した場合、肝臓に負担をかけることがあります。また、相性が悪く一緒にとらないほうがよい成分もあります。さらに、複数の製品に同じ栄養素が配合されている場合、栄養素のとり過ぎによる健康障害にも注意が必要です。

また、サプリメントは医薬品とも相互作用を引き起こす可能性があります。実際に、葉酸のサプリメントが医薬品の副作用を強める事例も知られています8)

薬を服用している場合や、サプリメントを複数服用する場合は、かかりつけ医や薬局の薬剤師に相談してからにしましょう。かかりつけがない場合は、ドラッグストアにも薬剤師がいるため気軽に相談できます。

海外製のサプリでも大丈夫?

海外製のサプリメントが必ずしもおすすめできないわけではありません。ただし、選び方には注意が必要です。

海外製のサプリメントの場合、日本以外の摂取基準を参考に栄養素の配合量が設定されています。1日の摂取量や妊娠・授乳中の付加量は国によって異なるため、目安量を守って使用しても、日本人にはとり過ぎになる可能性もあります。配合量を確認し、日本人にとっての推奨量を摂取できるものを選ぶことが大切です。

授乳が終わったらやめていいの?

妊活期~授乳期までは葉酸が多く必要でしたが、授乳が終われば多く摂取する必要はなくなります。サプリメントは飲まなくてもかまいません。

ただし、葉酸は全世代にとって必要な栄養素です。1日の推奨量である240μgをとれるよう、食事に野菜類を取り入れ、バランスの良い食事を目指しましょう。

育児などで忙しく、食生活が乱れがちな場合は、葉酸が含まれているマルチビタミンなどのサプリメントから葉酸を補うこともできます。不足しがちな鉄やカルシウムも合わせて配合されたサプリメント(マルチビタミン&ミネラル)も販売されています。

葉酸サプリを選ぶ4つのポイント

販売されている葉酸のサプリメントは多種多様です。配合量や一緒に含まれている成分も製品によって異なります。製品ごとの特徴を比較し、自分に合ったものを選びましょう。

葉酸の配合量を確認しよう!

葉酸の配合量は、商品によってさまざまです。妊活中~妊娠初期、妊娠中期~後期、授乳期では葉酸の推奨量がそれぞれ異なるため、時期に応じた量が摂取できる製品を選ぶことが大切です。妊娠初期向けなど、それぞれ推奨量を考慮して作られているサプリメントもあるため、現在の状況に合わせて上手に活用しましょう。

また、妊活中~妊娠初期はモノグルタミン酸型の摂取が推奨されているため、配合されている葉酸がモノグルタミン酸型であることを確認してから購入するのがおすすめです。

葉酸以外の栄養素もチェック

妊活~妊娠期向けのサプリメントには、葉酸以外の栄養素が配合されている製品もあります。

妊娠期には、妊娠前より摂取量を増やしたい栄養素が多くあります。まずは食事からの摂取を増やすのが大切ですが、妊娠前から野菜が不足しているなど食事が偏っていると感じる人は、葉酸以外のビタミン・ミネラルが配合されたサプリメントで補うこともできます。

ただし、葉酸同様に配合量はさまざまです。「○○配合」と記載があっても少量しか含まれない場合もあるため、パッケージや公式サイトで配合量を確認してから選びましょう。

ここからは、妊活~妊娠中に特に必要な栄養素を5つご紹介します。

それぞれの働きや妊娠中の役割、必要な摂取量を知り、サプリメント選びに活かしましょう。

鉄(300)

赤血球に含まれる「ヘモグロビン」の成分です。ヘモグロビンは肺で酸素と結びつき、全身に酸素を運んでいます9)。また、体内の酵素にも存在し、体のさまざまな働きを助けています1)

妊娠期には胎児の分の血液量が増加するだけでなく、さい帯や胎盤にも鉄が貯蔵されるため、妊娠前より多くの摂取が必要です1)

妊娠中の鉄欠乏は、母体や乳児の死亡リスクや、早産や低出生体重のリスクを上昇させることが知られています10)。また、出産後の貧血は産後うつの要因のひとつともいわれています11)

日本人の食事摂取基準(2020年版)1)では、18歳~49歳の女性の推奨量は、月経がある場合10.5mg、月経がない場合6.5mgと設定されています。また、妊娠初期の推奨量は9.0mg、中期・後期では16.0mgです。

しかし、令和元年の国民健康・栄養調査12)では、鉄の1日の摂取量は20代女性で平均6.2mg、30代女性で6.4mgであり、推奨量から大幅に不足しています。

妊娠中はもちろん、妊活中からしっかりと鉄を補給することが大切です。

食品中の鉄には、ヘム鉄と非ヘム鉄の二種類があります。肉や魚などに含まれるヘム鉄は肉や魚など、非ヘム鉄は野菜などに含まれています。非ヘム鉄はヘム鉄に比べ吸収率が低いことが知られていますが、ビタミンCと一緒に摂取すると吸収されやすくなります9)

★鉄の多い食品(可食部100g当たり)6)

植物性食品

食品名

鉄(mg)

納豆

3.3

小松菜

2.8

枝豆

2.7

ほうれん草

2.0

動物性食品

食品名

鉄(mg)

豚レバー

13.0

鶏レバー

9.0

牛レバー

4.0

牛肉(もも)

2.5

かつお

1.9

さんま

1.4

牛肉(肩ロース)

1.2

亜鉛

体内で酵素と結合して存在し、味覚や免疫などの働きに関わっています。また、たんぱく質やDNAの合成、骨の成長も助けています12)。そのため、妊娠中には胎児を成長させるために大切な栄養素です。

不足すると、貧血や食欲不振、皮膚炎、味覚障害、免疫力低下などの症状がみられます13)

食事摂取基準では、成人女性では1日8mg、妊婦では10mgの摂取が推奨されています1)

亜鉛が多く含まれる食品は、動物性食品や全粒粉、大豆製品などです。

★亜鉛の多い食品(可食部100g当たり)6)

食品名

亜鉛(mg)

小麦胚芽

16.0

牡蠣

14.0

豚レバー

6.9

牛肉(かたロース)

5.8

牛肉(かた)

5.3

油揚げ

2.5

納豆

1.9

がんもどき

1.6

カルシウム

骨や歯に存在し、骨量や骨密度を保っている栄養素です。また、一部はカルシウムイオンとして血液や筋肉、神経中にも存在し、筋肉の収縮や神経の情報伝達にも重要な役割を担っています14)

不足すると、骨量や骨密度の低下につながり、骨粗鬆症を招く恐れがあります1)

妊娠・授乳期はホルモン分泌の変化によって、骨密度が低下しやすいことが知られています。妊娠前後に骨が弱くなる「妊娠後骨粗鬆症」により、背骨を骨折し、強い腰痛がみられる例もあります15)

その他のカルシウムの欠乏症としては、高血圧、動脈硬化などがあります。

妊娠中は胎児の体を作るため、カルシウムが多く必要になります。一方、腸からのカルシウムの吸収も高まるため、カルシウム摂取の推奨量は、妊娠時と非妊娠時で同じ量です1)

ただし、日本人はカルシウムが不足しがちです。カルシウムの推奨量は成人女性で1日あたり650mg1)ですが、令和元年の調査12)では、平均摂取量は20代女性で1日408mg、30代女性では406mgでした。妊娠を計画したら早めに摂取を意識するのがおすすめです。

カルシウムは牛乳・乳製品はもちろん、大豆製品や緑黄色野菜、骨ごと食べられる魚介類にも多く含まれています。

★カルシウムが多い食品(可食部100g当たり)6)

食品名

カルシウム(mg)

プロセスチーズ

630

油揚げ

310

サバ(水煮缶)

260

しらす

210

小松菜

170

春菊

120

ヨーグルト

120

牛乳

110

チンゲンサイ

100

オクラ

92

納豆

90

EPA・DHA

EPA・DHAは、n-3系脂肪酸(またはオメガ3脂肪酸)と呼ばれる脂質の一種です。n-3系脂肪酸は体内で合成できないため、食事からとる必要があります1)

n-3系脂肪酸の機能として、血中の中性脂肪を低下させる働きが知られています1)。またEPAには抗炎症作用をもつことから、アトピーやアレルギーの緩和、脳機能の改善など、さまざまな機能が期待され、研究が進められています15)

特にDHAは、神経組織に多く存在しています。妊娠中は胎児の神経組織を作るため、より多くのn-3系脂肪酸の摂取が必要です1)。また、出生後もDHAは脳に蓄積され、神経発達を助けています。さらに、EPAやDHAを多く含む魚類を多く摂取することは、産後の抑うつ状態17)や生理痛18)を予防する働きが期待されています。

EPAやDHAの摂取のためには、脂質の多い青魚を積極的にとるのがおすすめです。

★EPA、DHAが多い食品(可食部100g当たり)6)

食品名

EPA(mg)

DHA(mg)

さんま

1500

2200

ぶり

940

1700

にしん

880

770

いわし

780

870

さば

690

970

あじ

300

570

ビタミンD

ビタミンDは体内で活性型ビタミンDに変換され、腸からのカルシウムの吸収を促進します1。また、細胞増殖や免疫機能にも関わっていることが知られています19)

さらに、ビタミンDが充足している人は、不足している人に比べて不妊治療の着床率や妊娠率が高かったという研究結果もあり、受精卵の着床にもビタミンDが働いていると考えられています20)

ビタミンDの欠乏によってみられるのは、小児ではくる病、成人では骨軟化症です。いずれも骨にカルシウムが十分に蓄積しないことで起こります1)。また、子宮内膜症や多嚢胞卵巣症候群など、不妊症の原因となる病気のリスクが高まるという報告もあります。

妊娠中のビタミンD摂取の目安量は、非妊娠時と同じ1日8.5μgです1)

ビタミンDは日光を浴びると皮膚で合成されます。ビタミンDを多く含む魚介類やきのこ類をとることに加え、適度に外出し日光浴をするよう心がけましょう。

★ビタミンDが多い食材(可食部100g当たり)6)

食品名

ビタミンD(μg)

いわし

32.0

さけ

32.0

にしん

22.0

さんま

16.0

きくらげ(ゆで)

8.8

まいたけ

4.9

干ししいたけ(ゆで)

1.4

ここで紹介した栄養素以外にも、冷えや腸の調子などのケアにつながる成分を配合したサプリもあります。葉酸サプリを選ぶ際は、自分の悩みに合った製品を探してみるのがおすすめです。

添加物も控えめが安心

現代の食生活では、食品添加物を避けることは難しくなっています。

現在使われている食品添加物は、胎児への影響、発がん性、蓄積性などを評価した上で、人の健康に影響を及ぼさないと考えられる「許容一日摂取量」が明らかにされています。その上で、使用にあたっての規格基準が定められ、基準に従って使用されています。

日本人の通常の食生活では、食品添加物の摂取は「許容一日摂取量」の1%未満であり、健康に悪影響を及ぼすことは考えにくいといえます20)

ただし、食品添加物の中には亜鉛など栄養素の吸収を阻害するものもあります12)。特定の加工食品に頼った食生活は、栄養素も偏りやすくなるためおすすめできません。

サプリメントを選ぶ上では、必要以上に食品添加物を摂取せずに済むよう、含まれている食品添加物の種類を確認してから購入しましょう。

添加物のうち、粉を固めるための賦形剤や結合剤などは、サプリメントを製造するために必要な添加物です。しかし、香料や着色料、発色剤、甘味料などの添加は必須ではないため、これらの種類の添加物は使用されていないものを選ぶのがおすすめです。「無添加」と書かれていても、どの種類の添加物が使用されていないかは製品によるため、パッケージや公式サイトをよく確認してみましょう。

続けられる予算で

サプリメントの摂取を続ける上では、予算を考えて製品を選ぶのも大切です。

葉酸は体内に蓄積されないため、妊活中~妊娠初期は毎日サプリメントを摂取する必要があります。葉酸サプリメントには多くの種類があり、価格帯もさまざまです。無理なく続けられるものを選ぶようにしましょう。

まとめ

葉酸サプリメントは、妊娠を考えたら早めに飲み始めるのがおすすめです。少なくとも妊娠初期までは、胎児の先天異常を防ぐために飲み続けることが推奨されています。妊娠中期~後期、授乳期にも葉酸を多くとる必要があるため、食事から十分にとれない場合はサプリメントで補い、十分な摂取を心がけることが大切です。サプリメントを選ぶ上では、葉酸以外の栄養素や配合成分、食品添加物について確認し、自分に合った製品を選びましょう。

参考

1) 厚生労働省「日本人の食事摂取基準(2020年版)

2)日本二分脊椎症協会「二分脊椎症について

3)厚生労働省「妊娠前からはじめる妊産婦のための食生活指針~妊娠前から、健康なからだづくりを~

4)国立研究開発法人医薬基盤・健康・栄養研究所「「健康食品」の安全性・有効性情報 葉酸解説

5)厚生労働省「神経管閉鎖障害の発症リスク低減のための妊娠可能な年齢の女性等に対する葉酸の摂取に係る適切な情報提供の推進について

6)文部科学省「日本食品標準成分表2020年版(八訂)

7)厚生労働省「健康日本21(第2次)

8)厚生労働省「e-ヘルスネット 食物と薬の相互作用(サプリメント編)

9)厚生労働省「e-ヘルスネット 貧血の予防には、まずは普段の食生活を見直そう

10)厚生労働省「eJIM 鉄

11)功刀浩「こころに効く精神栄養学」女子栄養大学出版部(2016)

12)厚生労働省「令和元年国民健康・栄養調査報告

13)公益財団法人長寿科学振興財団「健康長寿ネット 亜鉛の働きと1日の摂取量

14)厚生労働省「e-ヘルスネット カルシウム

15)日高三貴ら「妊娠後骨粗鬆症により多発椎体骨折をきたした2」整形外科と災害外科,68(4), 656-660(2019)

16)中村宜督「からだにいいってホント?食品でひく機能性成分の事典」女子栄養大学出版部(2022)

17)エコチルとやま「魚の摂取頻度が多いことは産後抑うつ状態のなりにくさと関連がある(エコチル調査より)

18)エコチル調査宮城ユニットセンター「生理の痛みに魚の効果? 産後に魚の摂取頻度が多い女性は中等度以上の月経痛を有するリスクが低い

19)厚生労働省「eJIM ビタミンD

20)食品安全委員会「お母さんになるあなたと周りの人たちへ

三樹彩夏
【監修】管理栄養士

三樹彩夏

小児科・内科クリニックに勤務後、2020年にフリーランスに転身。「健康的な生活を当たり前にする」をモットーに、ダイエットサポートやライター業を通して食の大切さを伝えている。

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