高齢出産という名の不安
高齢出産の定義が約20年前に変えられたことをごぞんじでしょうか。もともと、世界保健機構では35歳以上の初産を高齢出産と定義しておりましたが、日本では日本婦人学会が30歳以上の初産を高齢出産と定義しておりました。結婚平均年令が29歳近くなっている近年では、少し考えられませんね。1992年に35歳以上の初産を高齢出産と定義付け現在に至っているのです。年齢を引き上げた理由については、女性を取り巻く社会の環境が変化してきたのにつれて、出産年齢が高くなったこと、また、産科医学の進歩や女性自身の体が若くなってきたことにより、妊娠そして出産のリスクが小さくなってきたところにあります。
35歳を過ぎたからと違って突然何かが変わるわけではありません。排卵がきちんと行われて、健康なからであれば40歳を過ぎても普通に自然妊娠をしますし、20代・30代と同じように自然出産をしています。
ただ、あなたが30代後半の年齢でこれから子宝に恵まれたいと思ったり、現在妊娠をしているなら、高齢出産の危険性というものについて敏感になっているかもしれません。ただよく考えてください。明治時代の女性は10人以上もの子供を産み続ける母親がたくさんいました。40代末まで生み続けるということはザラにあったのですよ。
ここでは少しずつ高齢出産にまつわるリスクについてどう受け止めるべきか記したいと思います。
高齢出産で少し気になる話としては、20代前半の出産と40代の出産では、40代の出産の方が問題が多いのは当然です。母体の身体的なことはもちろん、卵子も老化するので、卵子や受精卵の染色体が分裂異常を起こす可能性が高くなってくるのです。
その典型的なものが「ダウン症」と呼ばれる染色体の異常。ごく稀に遺伝もありますが、高齢になれほど高くなってきます。しかし、男児の出生実数は、20代から30代に多いのです。40代の高齢出産では数が少ないので、率が高くなるのです。できれば、40歳前に出産できるよう、ほしくてもできない場合などは、早めに検査を受けてください。
夫か妻のどちらかの染色体異常による流産もあります。流産既往があるときは、夫婦双方に染色異常がないことを確かめてから、妊娠することが大切です。