流産になりやすくなる? │ 高齢出産の不安

統計的には自然流産の確率は、35歳を境に高くなっていくようです。

以下は、 日産婦誌52巻9に記載されている文章です。

不妊治療において女性の年齢は予後を左右する大きな因子であり,加齢とともに排卵する卵子の数と質の低下および染色体異常の頻度が増加し,子宮内膜や卵巣機能など受精卵の発育環境も悪化し,さらに婦人科的,内科的合併症も増加する。この結果,臨床的には妊娠率の低下,流産・早産率の増加,出生児の先天異常の増加などが認められるが,流産に 関しては染色体異常が最も重要な原因である。 一般に妊娠の約15%は自然流産に終わるが,母体年齢別にみると35歳を過ぎる頃から 流産率の増加がみられ,35~39歳では20%,40歳以上では40%以上が流産に終わるとさ れる。また,流産物の染色体検査では約60%に染色体異常が認められるが,この頻度も 加齢とともに増加することが報告されている。 精子や卵子の持つ染色体異常および初期細胞分裂時の異常の結果,初期胚の約40%が 染色体異常を持つが,その後この頻度は減少し妊娠初期には10%,さらに中期には新生 児で認められる頻度である0.6%にまで減少する。したがって,自然流産は妊娠初期から 中期における染色体異常妊卵の淘汰と解釈でき,加齢により各段階での異常頻度および淘汰の程度が増加した結果,流産率が増加すると考えられる。

つまり、流産というのは若くても自然流産として15%は起こりえるのです。これらの問題はもともと胎児が育たない運命にあったものとして、多くの場合は子宮に着床してから8週間以内に発生します。

ただし、流産が2度、3度と続く場合には赤ちゃんの問題だけとは考えられません。流産を連続して3回以上起こす場合には、慣習性流産と呼ばれ、的殺な治療を施さないと次の妊娠でも5から7割の割合で流産してしまうと言われています。

一方で流産を病気のように考えるような風潮もありますが、自然流産は病気ではありません。慣習性流産のように原因(病因)があるものについては治療が必要ですが、自然流産には予防策はないと言われており、人間も自然界の動物と同じということです。