無痛分娩は楽? │ 高齢出産の不安
高齢出産になると、長い陣痛などに体力が無いので耐えられないと、無痛分娩を選択したいという方も少なくはないと思います。この無痛分娩は子宮の収縮時の痛みを遮断する麻酔を打って、陣痛を感じさせなくさせる方法です。近年では、背骨の硬膜外(こうまくがい)という箇所に針をさして、局部麻酔をする硬膜外麻酔が一般的です。
さて、陣痛がない出産は快適な出産と言えるのでしょうか。陣痛をなくすことにより得られるものもありますが、当然失うものもあります。局部麻酔によって、子宮の収縮が弱くなるので、力を入れるタイミングがわからなくなったり、出産が長引き、お腹を押され、最終的には陣痛促進剤を使うことになって、クタクタになったりと、必ずしもいいことだけではないようです。最終的に、分娩台での帝王切開や吸引分娩やかん子分娩をすることになり、その後の回復に時間がかかってしまいます。
もちろん、高齢出産をして大変な思いをするよりは、無痛分娩で出産をしてよかったという声もたくさんあります。これから妊娠・出産を迎える人に、出産という自然の営みに1つ人工的な操作を加えることによって、そのから次々に本来であれば不必要な医療処置を施す必要性があることを認識していただきたいのです。
自然陣痛は、一番つよい波の時でも90秒以上続きません。陣痛と陣痛の合間には、全く痛みを感じない間欠期で、そのときに脳からβエンドルフィンという天然の麻酔が出て、母体をリラックスさせて休ませてくれます。人間本来が備え持っている能力を信じてください。からだの中の自然な営みは、心身にダメージを与えるような働きはしません。