2026年度から指定野菜。葉酸たっぷりブロッコリーは妊活に最適!栄養素や活用テクをご紹介

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葉酸は妊活中に必要な栄養素の代表です。ブロッコリーには葉酸が豊富に含まれ、妊活中の体づくりをサポートしてくれます。

農林水産省は2024年1月に、消費量の増加と国民生活への重要性を理由に、ブロッコリーを2026年度から新たに“指定野菜”に加えました。これは馬鈴薯の追加依頼となる約50年ぶりの更新で、安定供給を支援し、生産者への補助を強化する目的があります。ブロッコリーの指定は、その栄養価の高さと日本国内での消費増加を受けたものです。

この記事では、そんなブロッコリーに含まれる葉酸の量や、新鮮なブロッコリーの選び方、栄養素を効率よくとるための調理法を解説します。

葉酸とは

葉酸とは水溶性のビタミンであるビタミンB群の一種で、体内でDNAやたんぱく質の合成を促進する栄養素です。また、赤血球を作るのにも関わっているため、欠乏すると巨赤芽球性貧血につながります。1)

葉酸は男女ともに必要な栄養素ですが、妊娠中の女性はより多くの摂取が必要です。特に妊娠初期に葉酸が不足すると、胎児に「神経管閉鎖障害」と呼ばれる先天性異常の発症リスクが高くなります。2)

日本人の食事摂取基準(2020年版)」では、1日の葉酸の推奨量は12歳以上の男女で240μgです。

それに加えて、妊娠を計画してから妊娠初期の間は、サプリメントなどから葉酸を1日400μgとることが推奨されます。また妊娠中期~後期では、食事からの葉酸を480μgとる必要があります1)

女性の葉酸摂取の推奨量1)

 

12歳以上

妊娠計画中

妊娠の可能性あり

妊娠初期

妊娠中期

妊娠後期

授乳期

通常の食品中の葉酸

240μg

240μg

480μg

340μg

サプリメント・栄養補助食品に含まれる葉酸

400μg

ブロッコリーは葉酸が多い野菜の代表

葉酸はその名の通り、葉物野菜を始めとした緑の野菜類に多く含まれる傾向があります。ブロッコリーは枝豆やほうれん草と並び、野菜類の中でも葉酸の含有量が多い野菜です。妊活中には積極的に取り入れたい食材といえます。

▼野菜に含まれる葉酸の量(可食部100g当たり)3)

野菜の種類

100g当たりの葉酸(μg)

えだまめ(生)

320

ブロッコリー

220

ほうれんそう

210

だいずもやし

85

キャベツ

78

レタス

73

にんじん

21

葉酸だけじゃない!ブロッコリーに豊富に含まれる栄養素

ブロッコリーには葉酸だけでなく、妊活中の体を整えるのに役立つ栄養素が多く含まれています。ここでは、代表的な栄養素とその役割を紹介します。

ビタミンB1

体内で糖質をエネルギーに変える過程に関わるビタミンで、全身に必要なエネルギーを供給するのに役立ちます。特に脳はブドウ糖をエネルギー源としているため、脳にエネルギーを行き渡らせ神経機能を正常に維持するのにビタミンB1が欠かせません。体が大きい人や活動量が高い人、妊婦など、エネルギー消費量が多い人ほど多くのビタミンB1の摂取が必要です。

不足すると糖質の代謝が悪くなり、エネルギーをうまく作れなくなるため、疲労や倦怠感などの症状が表れます。欠乏状態が長く続くと、足のしびれや脳の神経障害にもつながります。1,4)

ビタミンB2

ビタミンB1同様、エネルギーを生み出すために必要なビタミンの一種です。ビタミンB2は糖質だけでなく、脂質やたんぱく質の代謝にも使われ、特に脂質をエネルギーに変えるときに多く必要とされます。また、

  • 皮膚
  • 粘膜

などを新しく作り替える働きにも関わっているため、美容の面でもビタミンB2の摂取が大切です。

不足すると、

  • 肌荒れ
  • 口角炎
  • 口内炎
  • 舌炎
  • 脂漏性皮膚炎

などが起こります。また成長期の子どもでは、ビタミンB2の欠乏によってエネルギーが不足し、成長障害を起こすことがあります。1,4)

ビタミンC

コラーゲンの合成を助ける栄養素です。コラーゲンは全身に存在するたんぱく質の一種で、皮膚のハリや血管の弾力、骨の強度を保っています。また、ビタミンCは強い抗酸化作用をもち、老化や生活習慣病を予防するのに役立っています。さらに、シミやそばかすの原因であるメラニン色素の生成を抑える作用もあり、日焼けの予防にもつながるとされています。

不足すると血管がもろくなり、皮下や歯茎から出血しやすくなる「壊血病」が現れます。疲労感や倦怠感、イライラ、貧血などの症状もみられます。1,4)

ブロッコリー100gに含まれるビタミンCの量は140mgです。3)これはレモン100gよりも多い含量で、1日のビタミンCの推奨量(100mg)1)を超えています。

食物繊維

小腸で消化・吸収されずに大腸まで達する成分の総称で、水溶性食物繊維と不溶性食物繊維の2種類があります。

水溶性食物繊維は腸内細菌のエサになり、善玉菌を増やすことで腸内環境を整える成分です。一方、不溶性食物繊維は便のカサを増やして腸を刺激し、ぜん動運動を活発にする働きがあります。5)

便通を助けるだけでなく、血糖や血中コレステロールの濃度を低下させ、心臓病や脳卒中を予防する働きも知られています1)

ブロッコリーは野菜の中でも食物繊維が多く、100g当たりに5.1g含まれています。これはごぼうに匹敵するほどの含量です。3)

たんぱく質

筋肉、骨、臓器など、体の組織を作る主な成分です。また、体の働きを調節する酵素やホルモンもたんぱく質でできています。さらに、たんぱく質を構成するアミノ酸は、神経伝達物質やビタミンなどの原料としても使われます。妊娠中は胎児の体を作るため、非妊娠時より多くのたんぱく質摂取が必要です1)

ブロッコリー100gにはたんぱく質が5.4g含まれています。3)この含量は野菜の中ではトップレベルです。さらに、体内でたんぱく質が代謝される際に必要なビタミンB6も合わせてとることができます。

新鮮なブロッコリーの選び方と保存方法

色が濃いものを選ぼう!

新鮮なブロッコリーは、

  • 茎の切り口

で見分けます。

色は濃い緑で、できるだけムラのないものがおすすめです。黄色に変色したものはやや鮮度が落ちているといえます。冬には紫がかった色をしたブロッコリーも見かけますが、これは寒さによるもので、ゆでると緑色に戻るため問題ありません。

形はつぼみが密集していて、こんもりと盛り上がっているものを選びましょう。また、茎の切り口に空洞や亀裂があるものは避けましょう。柔らかく甘味のあるブロッコリーは、茎の中心までみずみずしいのが特徴です。

保存方法

劣化を防ぐため、乾燥を避けて冷蔵庫で保存するのがポイントです。つぼみをキッチンペーパーで包んでからポリ袋に入れ、冷蔵庫では軸を下にして立てた状態で保存します。

ブロッコリーから放出されるエチレンガスは、他の植物を熟成させ劣化を早める働きがあるため、ポリ袋に入れずにそのまま冷蔵庫に入れないようにしましょう。

期限は2週間を目安に、できるだけ早く食べきるのがおすすめです。生のまま長時間置くとつぼみが開いて変色し、味も落ちてしまいます。

さらに長く保存したい場合は、ゆでてから冷凍しましょう。一口大に切ったブロッコリーを塩ゆでして冷ました後、水気をふき取ります。小房が重ならないように密閉袋に入れ、空気を抜いてから冷凍します。この場合でも1ヶ月を目安に使い切りましょう。

市販の冷凍ブロッコリーもおすすめ

市販の冷凍ブロッコリーは、スーパーだけでなく最近はコンビニでも入手できます。ゆでる手間がなく、凍ったまま料理に使える、時短の強い味方です。

冷凍野菜は質が悪い、栄養がないというイメージがあるかもしれません。しかし、実は鮮度も栄養価もキープされた便利な食材です。

冷凍野菜は旬の時期に収穫された、最も栄養価の高い状態の野菜が使用されます。さらに急速冷凍する前に、90~100℃の熱湯や蒸気に数分さらし、必要最低限の加熱処理を行います。この加熱方法を「ブランチング」といい、野菜に含まれる酵素の働きを止め、冷凍保存中の変質や変色を防いでいます。

ブランチングにより、野菜に含まれるビタミンCはやや減少します。しかし、冷凍保存中の減少は起こりにくいのが特徴です。6)

これらの特徴から、冷凍野菜にも栄養は十分含まれ、生野菜と同様に栄養をとるのに役立つといえます。

ブロッコリーの栄養素を捨てない調理法は?

葉酸などのビタミンB群や、ビタミンCなどの栄養素は水に溶けやすいため、ゆでると流出して量が減少します。ブロッコリーをゆでると葉酸は約6割に、ビタミンB1、B2、Cでは半分以下になってしまいます。3)

ここでは、ブロッコリーに含まれる栄養素を損なわずにとるための調理法を2つ紹介します。

1.スープやみそ汁にしてとる

ブロッコリーをスープにしてゆで汁ごととることで、水に溶け出した分の栄養素も余さず摂取できます。

洋風のスープだけでなく、みそ汁とも意外と合うのでおすすめです。

2.電子レンジで加熱する

電子レンジ調理では、ビタミンB1やB2、Cでは9割以上の栄養価が残ります。葉酸では7割程度の残存率ですが、ゆで調理よりは損失を抑えることが可能です。

ブロッコリーの房を切り分け、茎も食べやすい大きさに切って耐熱容器に入れ、大さじ1程度の水をかけてからラップをして電子レンジ(600W)で温めます。1株で3分30秒~4分程度を目安に、好みの柔らかさになるよう時間を調節しましょう。

▼ブロッコリーの栄養価の残存率(生との比較):3)より計算

調理方法

葉酸

ビタミンB1

ビタミンB2

ビタミンC

ゆで調理

59%

41%

43%

44%

電子レンジ調理

68%

94%

100%

93%

妊活中はサプリメントからも葉酸をとろう

ブロッコリーには葉酸が多く含まれていますが、妊娠初期には食事だけでなくサプリメントからも合わせて摂取することが厚生労働省から推奨されています。

「日本人の食事摂取基準(2020年版)」では、妊娠を計画している女性、妊娠の可能性がある女性、妊娠初期の妊婦は、通常の食品からとる葉酸240μgに加え、サプリメントや栄養補助食品などから葉酸を400μg摂取することが望ましいとされています。1)

妊娠初期に葉酸が不足すると、胎児の神経管閉鎖障害のリスクが高くなることが知られています。神経管の閉鎖は受胎後およそ28日で起こるため、妊娠が分かってから葉酸を摂取するのでは間に合わない場合がほとんどです。そのため、妊娠を計画した時点からサプリメントの摂取を始めるのが理想です。

葉酸サプリにもさまざまな種類があり、他にとりたい栄養素やお悩み別にさまざまな商品が市販されています。選び方のポイントは以下の記事を参考にしてください。

https://www.kimurasan.com/column/how-long-should-i-take-folic-acid-supplements-explanation-of-how-to-choose-and-points-supervised-by-a-registered-dietitian/

ただし、サプリメントから葉酸を十分にとっているからといって、食事から葉酸をとらなくて良いわけではありません。葉酸を多く含む食品の摂取が不足すると、他の栄養素の不足にもつながります。食事とサプリメントの両方から葉酸を摂取することが、母体や胎児の健康づくりのために大切です。

ブロッコリーを妊活中の食事に取り入れて健康な体づくりを

ブロッコリーは葉酸を多く含む野菜です。葉酸は妊娠初期の胎児の発育に欠かせないため、妊活中には特に積極的に摂取したい栄養素です。またブロッコリーには、葉酸だけでなくビタミンB群やビタミンC、食物繊維など、健康や美容をサポートする成分も豊富に含まれています。

ただし葉酸などの水溶性ビタミンは、調理によって水に溶け出し含有量が減ってしまいます。スープやみそ汁にしてゆで汁ごととる、電子レンジ調理で損失を抑えるといった工夫をして、ブロッコリーの栄養を余さずとるのがおすすめです。より手軽にとるには、市販の冷凍野菜を活用するのも一手です。

ブロッコリーを食事に取り入れ、妊娠に向けた健康な体づくりを目指しましょう。

参考文献

1) 厚生労働省「日本人の食事摂取基準(2020年版)」https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_08517.html

2)厚生労働省「e-ヘルスネット 葉酸とサプリメント ‐神経管閉鎖障害のリスク低減に対する効果」https://www.e-healthnet.mhlw.go.jp/information/food/e-05-002.html

3)文部科学省「食品成分データベース」https://fooddb.mext.go.jp/index.pl

4)飯田薫子,寺本あい監修「一生役立つ きちんとわかる栄養学」西東社(2019)

5)厚生労働省「e-ヘルスネット 便秘と食習慣」https://www.e-healthnet.mhlw.go.jp/information/food/e-02-010.html

6)一般社団法人日本冷凍食品協会「冷凍食品Q&A|冷凍食品の基礎知識」http://www.reishokukyo.or.jp/frozen-foods/qanda/qanda1/

三樹彩夏
【監修】管理栄養士

三樹彩夏

小児科・内科クリニックに勤務後、2020年にフリーランスに転身。「健康的な生活を当たり前にする」をモットーに、ダイエットサポートやライター業を通して食の大切さを伝えている。

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